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行き過ぎた粗食にご注意を

行き過ぎた粗食にご注意を

20年ほど前に「飽食の時代」などと言われていた現代日本。当時高校生くらいだった自分ですが嫌な言葉だなあ・・と思った記憶があります。
翻って今では「健康ブーム」という名目のもと、粗食が見直されている風潮にあります。これ自体は悪いことではないと思いますが、「粗食」というのもあまりに行きすぎますとこれはこれで健康を害することもあると私は考えています。
例えば「肉や魚を一切食べない!」とかそういう極端なことをなされますと特にタンパク質の摂取が減ることで栄養失調に陥るケースがあります。
糖質や脂質は現代日本人であれば過剰と言えるほど摂取されておられる方が多いように思いますが、「良質なタンパク質」というのは意外に摂れていないように思えます。

主な日本人のタンパク源は肉・魚・大豆製品・卵・貝類・海藻などでしょうか(私は牛乳はお勧めしておりません)。
タンパク質の不足により現れる不調とは
・筋力の低下
・脳梗塞の増加
・認知症
・感染症にかかりやすくなる

など色々とあります。

この原因となるものとしてタンパク質の中で「良い細胞を作る材料」となる「アルブミン」というものがあります。食物から摂り入れたタンパク質は肝臓でこのアルブミンに組み替えられるのですが、タンパク質の摂取が極端に少なく、体内でアルブミンが欠乏すると良い細胞が作られにくくなることで血管がもろくなったり老化の進行が早まったりすることにつながります。
「物を食べないというのが体に良い」、というような風潮がありますが、個人的にはこれは間違いだと思います。「良質な栄養素は摂り入れた上で食べ過ぎない」というのが私の中での正解だと考えています。
人間は仙人ではありませんので霞だけ食べて暮らすことはできません。
粗食というのにも自ずと限度があります。長寿の方は肉も魚もなんでもよく食べる方が多いように思いますし、そういう方の多くは「食べ過ぎない」ことができているように思えます。

今思えば私が今年行った日本一の長寿村、高山村の長寿さん達もお話しを伺った中で良質な物を適量食べている方々だったと思います。
食べ過ぎもダメですが、食べなすぎもダメ。
1日1食が長生きの秘訣!などという文言をよく耳にしますが、それはそうだとしても、「1日1食(にすればいくら食べてもいい)」とか「1日1食(で粗食にすればいい)」というのは間違いであり、やはり必要な栄養素はきちんと摂取しなくてはいけないと思います。その上で適量を心がけることが大切なのではないでしょうか。

私はそういう考えを持ってご相談の皆様とお話ししております。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2015年7月8日