湿気の季節と関節痛
雨の季節になると、なんとなく関節が重だるく感じたり、古傷がうずいたりする人が増えてきます。実はこれには「水分代謝の乱れ」が大きく関係しています。
人の体内には約60%の水分が存在し、そのバランスが崩れると様々な不調が現れます。特に水分の巡りが悪くなると、体に「湿(しつ)」が停滞し、筋肉や関節に負担をかけやすくなるのです。これは、関節周囲に余分な水分や老廃物が溜まってしまい、炎症や違和感を引き起こすためです。
中医学では、こうした状態を「湿邪(しつじゃ)」の影響と捉えます。湿邪は重く、粘り気があり、停滞しやすい性質を持っています。これが関節に入り込むと、「痺証(ひしょう)」と呼ばれる痛みやしびれ、可動域の制限などの症状を引き起こします。特に湿度の高い梅雨時期は、外からの湿気と体内の湿が合わさり、症状が悪化しやすくなります。ではどう対策すればよいのでしょうか。
中医学では「利水化湿(りすいかしつ)」という方法を用いて、体内の余分な水分を排出し、巡りを改善することで痛みを軽減させます。代表的な漢方薬としては、関節の痛みやむくみに効果が期待できる防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)や、胃腸の湿を取りながら筋肉のだるさを改善する勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)などがあります。
また、普段から温かい飲み物をとる、冷たいものを控える、軽く汗をかく運動をするなど、生活習慣を見直すことも大切です。これから迎える梅雨の時期、関節痛が出やすい方は「水分代謝」の乱れに注目し、中医学的なアプローチで身体を整えてみてはいかがでしょうか。効果が出るには少し時間を有するため、できればお早めのご相談をお待ちしております。
2025年6月19日