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糖尿病と中成薬

処方箋の調剤もお受けしている当薬局において、私がいつも気になる患者さんの病名ナンバー1はズバリ「糖尿病」です。

インスリン治療や内服薬など西洋学の治療ではある程度決まったやり方というものがありますが、中医学の場合は糖尿(漢方では「しょうかち病」と呼びます)の原因というものを実に細かく分類し、その原因を治癒させる方向性をもって改善を行なっていきます。

これらをわかりやすく、大きく分類しますと(1)食生活の不摂生による発症、(2)精神的刺激による発症、(3)老化、性欲過度と陰虚体質による発症の3つに分けることができます。

(1)は日常的に油分の多い食事や濃厚なものを過食している人に多く、胃の中に余剰な熱(胃熱)が発生し、これが体の中の陰液(余剰な熱を覚ます体液のようなもの)を消耗させることにより糖尿を発症させるもの、続いて(2)は長期間にわたって気分がふさいだり強い精神刺激を受けたりすると気鬱や気滞(精神的な抑うつ状態)に陥ることにより、全身の津液(体をめぐる体液の全て)を消耗することでこれが糖尿の原因になる。最後の(3)は老化や過度の性交などにより臓器を潤すいわば冷却水が大きく消耗し、結果として糖尿病の発症につながる。これらの原因を総括して考えますと、糖尿病の発症する原因として漢方が捉えているのは様々なマイナスの要因により、体を潤したり冷却する「体液」が大きく消耗し、その結果として糖尿病の様々用いていくのが良いかというと用いていくのが良いかというとな原因が発症するようになっていることがわかります。

また、血液の汚れなども発症の原因や、糖尿病を悪化させる原因になります(むしろ血液の汚れはメインの原因になることもしばしばあります)。これらのタイプ対してどのような中成薬や自然薬を用いていくのが良いかというと、それぞれの原因を根治させていくものが必要になります。症状というものはまさに十人十色ですのでご用意する薬の処方は人により全く異なります。例えば原因に血液の不調がある場合は体液を増やし、血液の「粘り」を改善する「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」や、血液の「詰まり」を改善する「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などは糖尿病の根本原因に対して広く作用していくので非常に便利なアイテムです。また、老化や陰虚体質によるタイプには各種の「補腎薬」などが効果的なケースが多くあります。その他にも様々な中成薬がそのタイプにより選択可能です。
糖尿病でお悩みの方 ご相談ください

西洋薬で血糖値のコントロールをすることはもちろん大事なことではありますが、根本原因を取り除いていくということは中成薬の特徴と言えると思います。

糖尿病は症状が出づらい病気ですが、それゆえに気がついた時にはかなり症状が進行し、網膜、腎臓などに重篤な合併症を引き起こしたり、最悪の場合、壊疽などにより足等を切断するようなケースもあります。

日本は「糖尿病大国」です。自分は大丈夫、と思うことなく、日頃からの健康管理に努めましょう!正しい中成薬の使用もまた、予防、改善に大変効果的です。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2013年8月28日