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1000年前の薬が現代薬を上回る日

CNNニュースに面白い記事が載っていました。

「千年前の薬が現在の抗生剤が効かない耐性菌を駆逐する力がある」という内容。

世界最古級の医学書として知られるイギリスの「Bald’s Leechbook」に掲載されていたある眼病の薬(主成分はなんとニンニク・玉ねぎ・ワイン・牛の内臓から採れる胆汁!)をできる限り忠実に再現してみたところ、抗生剤の効かないいわゆる「耐性菌」である「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」を駆逐する力があるという事が分かったという。

もちろんこうしたものが本当に臨床で用いることができるようになるのか、できるとすればどのような形で製品化されるのか、という部分はまだまだ未知の部分があるとはいえ、これは漢方に携わる我々からするとすごく痛快なお話です。

西洋医学の尊厳の「核」とも言える「抗生物質」。
その多用により生まれてきた抗生物質の効かない「耐性菌」。

この二つのイタチごっこをなんと1000年前の、それも内容を見ればいわゆる「生薬」、いや、ただの「食材」が打破する。こんなに面白い話はありません。

この研究結果に携わった研究者のコメントに「1000年前の抗生剤が本当に機能するとは未だに信じられない」「こんな結果が出るとは全く予想していなかった」などというものがあったそうですが、私としてはなんら不思議はありません。

現代医療が最先端でそれより以前のものは全て「過去の産物」として見なされがちな現代の医学ですが、漢方を毎日用いていく中で現代の西洋学がひっくり返ってもなしえないような結果を出し続けているのが誇張でも嘘でもない紛れもない現実です。

漢方の歴史は実に数千年。
1000年前の医学が現代医学の成し得ないことを成し得たとしても実はなんの不思議もないのです。

温故知新。
古きものを切り捨てるのではなく、こういう時代だからこそ「根本治療」の観点に立てる漢方薬のニーズが高まっていることを理解した上で西洋一辺倒の治療ではなく、良いところを組み合わせた治療を確立していく必要性があると私は確信しています。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2015年4月2日