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結局漢方でダイエットはできるのか?!

「そもそも漢方で痩せるの?」というお話をよくお客様からもいただきますのでまずは結論から言わせていただきますと・・漢方だけ飲んでいればみるみる痩せていくということは残念ながらありえません。そもそも痩せるためには代謝量>摂取カロリーの構図をご自身で作り出す必要があります。漢方薬で代謝を高めたりすることは可能ですが、あくまでも摂取カロリーを減らすことが必要です。

「摂取カロリーを減らす」、というと皆さん途端に嫌な顔をされますが、栄養素を減らさずに摂取カロリーを減らす、というのは実はそんなに難しくありません。基本的には炭水化物は少なめにして(個人的な意見を言えば0にはしないほうがいいです)、低脂肪高タンパクの食品(大豆食品や鶏肉など)を食卓のメインに据えて、海藻、野菜全般、豆類などをバランスよく食べればカサが増えてもカロリーは低く、かつ栄養素をしっかり取ることは可能です。この辺りはまた別の機会にもお話しようと思いますが。

では漢方薬がダイエットの部門でお手伝いできるのはどこか?と言われれば、基本的に①代謝アップ ②消化機能アップ の二点に集約されるでしょう。

①の代謝のアップとは、基礎代謝量を高め痩せやすい体を作る、ということはもちろん、血流や体液の循環を改善し、むくみを改善したりしてシュッとした体を作ります。女性の肥満というのは過食や運動不足によるものもありますが、むくみ、という要素が多いのも事実です。また、②の消化機能アップは、胃腸をはじめとした消化器官の能力を高め、消化能力を高めてダイエットを促進するだけでなく、しっかりしたお通じをつける効果も期待できます。便秘はダイエットの大敵ですからね。漢方は「健康的に痩せる下地を作るもの」として捉えていただくのが正しい解釈だと思います。

ここで一つ注意して欲しいのが一般的に「飲めば痩せる」とか「脂肪を減らす」などと書かれてドラッグストアなどで販売されているいわゆる「漢方の痩せ薬」の選択です。前述しましたとおり、漢方は肥満改善の下地作りには良い効果が期待できますが、これはあくまでも使う人の体質に合わせて使った場合のお話です。例えばお通じが悪く無い、むしろお腹がゆるくなりがちな体質の方に便通をつけて肥満を改善させる類の漢方薬を使えばこれは健康を害する可能性があります。ただ「内臓脂肪を減らす」とか「肥満改善」と書かれているものを手にとってむやみやたらに飲むのはオススメできません。場合によっては副作用が出ることもあります。私が「ダイエットに役立つ漢方薬を教えて」と言われた時に漢方名を教えないのもこういう理由があります。

運動と食生活、そして生活習慣。太りやすい生活を健康的に痩せていく生活に変えていくその人ごとに合った指導を受け、かつその方の体質に適した漢方薬を合わせてはじめて効果を実感することができるでしょう。きちんとしたダイエットカウンセラーが店舗にいるお店を選ぶべきですね。

太りやすい生活習慣も太りにくい生活習慣も実はそんなに難しく考える必要はありません。早寝早起きやバランスの良い食事など、規則正しい生活、ストレスの少ない生活、適度な運動などいわゆる「健康によい生活」がそのまま太りにくいカラダづくりにつながっていきます。まずはここから始めていきましょう。ただし、年齢のせいで代謝が落ちた、とか足腰を痛めてしまって運動ができなくなってしまったなどというお悩みに関して自助努力だけでは成し遂げられなくなってきたお体に若さを取り戻せるのも漢方の大きな特徴の一つです。

ダイエットには色々なお悩みのストーリーがあると思いますので場合に応じた選択のできる先生がおられるところにご相談になってください。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2016年4月18日