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今から注意!夏の終わりの夏バテ

ようやく夏らしい暑い日が続いておりますがこういう年は残暑が厳しくなるそうで、体調管理が難しくなりますよね。今回はこの暑い盛りの時期を過ぎた後に出てくる「本当の夏バテ」についてのお話をしようと思います。

中医学(中国漢方)の考え方には、春夏秋冬の四季のほかに「長夏(ちょうか)」という季節があります。日本では8月下旬から9月中旬頃まで、夏と秋の季節の変わり目ですね、今日のお話はちょうどこの辺りになります。

日本の夏の特徴としてはまず湿度の多いことがあげられますが、この時期は体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まりやすく、これにより胃腸系の機能も低下しがちになります。また、ここに冷たいものを摂り過ぎてしまいますと結果、お腹の不調や食欲不振を呼び込み、それが続くことで夏が後半に入る頃にエネルギーを大きく消耗し、また作る能力も落ちてしまいすっかりバテてしまうのです。ですからまずは胃の働きを整える正しい食生活を心がけ、しっかり栄養を摂り(調子の悪い時に脂っこいものや消化しづらいものは無理に摂らないこと!)、秋冬に向けて十分な体力をつけることが大切です。

 また、湿度の高い夏が終わりに差し掛かると一気に湿度が低下し、乾燥していく時期の移り変わりで「肺」の不調が起こりやすくなります。もともと呼吸器が弱かったり、夏の疲れを引きずっている方は夏の終わり頃から急に喘息症状が悪化したり、カゼなどの感染症にもかかりやすくなってしまいます。疲れを残さないというためには体に潤いを残すことが肝心になります。ただ難しいのは潤い=水を多く摂ることとはならないこと。「なんだ、じゃあ水分をたくさん摂ればいいんだ」と冷たい水をガブガブ飲みますと最初に言った胃腸系の不調が出てきますのでこれはNG。ではどうすればいいか、といえば体に潤いをつける食養生を取り入れてみてください。特に肺を潤す食材としては白きくらげ、百合根、ねんこん、白ゴマ、梨、ねぎ、ごぼう、ネギ、葛、きのこ類などが上げられます。

また、はしゃぎすぎて汗をかきまくり、すっかりエネルギーを消耗してしまった大人の皆さんの中で、動悸や息切れ、ほてり、夜の不眠などが表れてしまった方は漢方で言うところの「心(しん)」がすっかり弱ってしまっている状態ですので「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」あたりの潤いとエネルギーを同時に回復できる漢方薬でしっかりと回復していただきたいと思います。ちなみに心を補う食材ですが、「心臓のお悩みには心臓を!」ということで実は鳥のハツなどが有効です。またぶどうやらっきょう、タマネギ、百合根などの食材も良いでしょう。百合根、大活躍ですね。

ちなみに睡眠時間が遅くなると体液はドンドンと消耗されますので夏の時期はとにかく早寝早起きを心がけましょう。

夏の養生を怠っているとその時は良くても季節の変わり目に大きく体調を崩しやすくなります。例年そういう状況を繰り返されておられる方、特に呼吸器が弱い、胃腸系が弱い、という方はご注意を。

長夏を満喫しつつ、次に来る秋を健やかに迎えるために是非毎日の生活を見なおしてみてくださいね。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也 

2016年8月3日