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足腰の弱り、痛みに大切な知識

足腰の弱り、痛みに大切な知識

あまり考えたくはありませんが加齢による衰えというものは誰でも避けられないものです。年齢とともに減少する筋肉量、骨や関節の弱りなどを原因とし、痛みや転倒や骨折がでやすくなります。いつまでも他人の力を借りずに歩ける足腰を作るために必要な知識についてお話したいと思います。

 足腰を支えるキーワードとして①骨 ②肉 ③筋 ④血 の4つが挙げられます。①「骨」が弱ると足腰のだるさや冷え、骨粗相症などの症状が出てきます。骨の健康には「補腎薬(ほじんやく)」と呼ばれる種類の漢方薬と骨のもとになるカルシウムの補給、そしてそれを吸収・代謝できるための体づくりが必要になります。

②「肉」=筋肉が弱くなるとよく躓くようになったり、手足に力が入らなくなるという症状が出てきます。筋肉を強くするためには「胃腸」などの消化器系の元気が必要になります。これを成すために漢方には「補脾剤(ほひざい)」と呼ばれる種類の漢方があり、効果的ですが、日頃からの食べ物に気を使ったり暴飲暴食を避けるなどの胃腸のケアも必須です。

③「筋」=筋への栄養が足りない状況になりますと手足のしびれ、足がよくつる、関節がきしむなどという不調が起こります。筋に栄養を送るのは血液であり、漢方の言葉で言いますと「肝血(かんけつ)」というものがそれに当たります。ストレスや飲酒などにより肝血を作る力は妨げられてしまいますのでご注意を。イキイキとした肝血が流れ込むことで筋には弾力と強さが補われ、損傷や炎症が起こることを抑えてくれます。漢方薬は「肝」を補うものを服用すると効果的ですね。

そして最後の④「血」ですが、流れが滞ったり、中の血液が汚れてきますと皮膚の色が黒ずんだり、血管が浮き出たり、いつも同じところに痛みが出てきます。これは血液の危険信号ですので、血液の流れを改善したり、汚れを浄化する「駆瘀血剤(くおけつざい)」という種類の漢方薬の服用が効果的です。「冠元顆粒」などが非常にお勧めできます。肩こりや生理痛、腰痛などが決まって同じ部位に現れるという方はこのタイプである可能性が高いので特に注意が必要です。

このように様々な原因が痛みや弱りのもとになるのですが、特に加齢によるものは根が深く、改善が難しくなりがちです。痛みの前のサインとして「だるさ」を感じるようになったら漢方薬を飲み始めるタイミング、と考えていただき、ご相談いただければと思います。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2016年12月15日