イライラの原因は「肝」にあり
中医学では体を大きく分類した時に重要とされる「臓腑」のひとつ、「肝」は「疏泄(そせつ)」を主(つかさどる)るといい、簡単に言えば伸びやかで健全な精神状況に大きく関与する、とされています。
ストレスや疲労、生活習慣の乱れなどでこれらの作用が失調するとこの肝の制御が効かなくなり、わずかな刺激でも怒りやすくなります。肝は「肝臓」のことでもありますので血を貯蔵する場所でもあるのですが、こうした何らかのマイナス要因によって肝に蓄えられるはずだった血(これを「陰血」と呼びます)が不足すると、これまた制御不能の怒り体質となりやすくなる。イライラし易い人の多くはこれ。
ちょっと解説すると「陰血」というのは聞き慣れない言葉だと思いますが、「陰(いん)」とはこれまた簡単に言えば体の熱を冷ましたり、潤いを与える力のこと。すなわち陰血とは「体を潤したり過剰な熱を冷ますための血」という風に考えるとわかりやすいでしょうか?これが不足してしまうと体の中が熱過剰になってしまい、
この肝の陰血を補うものとしては滋陰降火湯(じいんこうかとう)や柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)などを用いることが一般的となります。イライラだけではなく、胸脇痛、口渇、熱感、顔の火照り、頬の紅潮などの症状が同時に起こってきた場合は注意が必要です。
中医学で大きな改善が見込める分野でもありますのでお悩みの方はご相談いただくことをお勧め致します。
2017年4月22日