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虚弱者の瘀血に

血液の循環が悪くなった血液ドロドロの「瘀血体質」というものに対してそれが生活習慣(暴飲暴食・不眠・運動不足など)から起こる、と認識される人が多く、実際に瘀血という体質は悪い生活習慣で作られていく病態でもあります。

ただ、それだけではないのです。例えば「出産後」や「大病の後」、さらには「慢性的な貧血」や「消耗性疾患」などのご事情がある方はやはり生活はとても良く過ごされていたとしても瘀血が出てくることがあります。これを「虚弱の瘀血」と私は呼んでいます。こうした病態に対して世間でよく使われる「桂枝茯苓丸」などの瘀血を治すとされる漢方薬はあまり効果がありません。なぜって?それは「補って治す」という力がないからです。不足するものが多い方には補って治す効果のある漢方薬が必須となります。

こういう時に大変に頻用するのが「芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)」という漢方薬があります。疲れやすい、貧血気味、女性疾患(子宮内膜症・子宮筋腫など)、体のだるさが抜けない、髪がぱさつく、生理がなかなか来ない、経血が少ないなど体にエネルギーと血液が足りない「不足」「虚弱」の状態があり、強い生理痛や刺すような固定痛、皮膚の黒ずみ、経血に黒い塊が混じるという方は瘀血の病態も併発している可能性が高くなります。

こうした病状に対して非常に効果的な理由は瘀血を取り除く生薬だけではなく、当帰、川芎、地黄と言った血を補う力に加えて大棗、生姜、白朮、茯苓といった気を補う生薬までしっかりと加わっているからです。虚弱を感じ、血液の停滞を感じる方を元気にしながら血液の浄化にも一役買ってくれる優しく、どなたでもお飲みになれるとても良い漢方薬です。

2018年11月19日