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認知症と漢方薬

世界的な問題となっている「認知症」。先ごろ世界初のアルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβを抑制する新薬が承認された、ということで大きな話題になっていましたがまだまだ認知症は解明されていない謎も多い疾患です。そんなまだまだ未知の要素も多い病気に対して漢方薬が効果を発揮することなんてできるの?と懐疑的になるお気持ち、きっとあると思います。しかしながら漢方薬での予防や改善は決して不可能ではないという感覚が日々現場で漢方薬と生活養生をお伝えしている身からするとあります。そこで今回は認知症に対する中医学の考え方とその対策に用いる漢方薬についてお話していこうと思います。

まず認知症の原因として中医学では脳への流れが滞る「瘀血」、脳の老化を起こす「腎虚」、体内エネルギー不足で脳への栄養が不足する「脾気虚」、ストレス過剰で脳が不具合を起こす「肝鬱気滞」と大きく4つに分類することができます。中医学では脳を元気保つためにエネルギーである「気」と血液である「血」が脳にしっかりと供給されることが必要であると考えます。それゆえに流れが滞る瘀血や肝鬱気滞、不足が起こる脾気虚、そして何より脳そのものの老化を促進させてしまう腎虚という病態が場合によっては複合的に起こることで認知症が起こったり進行したりしてしまうわけです。対応する病態への漢方薬と共にそれを引き起こしている悪い生活習慣があればそれを改善させることで認知症の進行を遅らせたり改善させることが期待できます。ただ、基本的には進行性の病気である以上、予防医学としての中医学が最も重要かつ効果的と考えておりますのでお悩みの方はできるだけ早めのご相談をお勧めしたいと思います。

2023年9月13日