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解熱剤に「ちょっと待った!」

かのヒポクラテス曰く「発熱は外敵を排除するために自然が与えたエンジンだ」

つまり感染症の発熱はよい兆候、ということ。
これがいつからか欧米を中心に「熱」というものを敵視するようになりました。いわゆる解熱剤の登場以降この考えに拍車がかかります。

欧米から始まったこの解熱剤ブームは日本にも到来し、ピラゾロン系やジクロフェナクなどの強力な抗炎症解熱剤が多用されるようになりました。

「熱が出た→危ない!解熱剤で下げなくちゃ!!」

ちょっとこの考え方、待って欲しいのです。

例えばある動物実験でのデータでウサギにある最近を接種した後、解熱剤を用いなかったウサギには高熱が出て2日後にほぼ解熱。7羽中死亡は2羽。
これに対して解熱剤(アスピリン系)を用いたウサギは最初解熱、その後解熱剤がなかった個体よりもさらに発熱。その後実験を行った9羽全てが死亡、などというデータがあります。

この動物実験のまとめ(同様の内容で15回実験)として解熱剤を使用しない場合の死亡率は9%、これに対して解熱剤を用いた群体の死亡率は46%だったそうです。これでも解熱剤を使いますか?

要するに発熱する事にはきちんとした体内生理上の理由があるのです。
ですから簡単に解熱剤を用いる事はこの生理・免疫システムを妨害する事にもなりうる可能性があります。

例えば漢方の清熱剤と言われるカテゴリの薬は発汗させて体内に籠ってしまった体の余剰な熱だけを上手に外に逃がしたり、お通じをつけて外に熱と共に邪なものを下してしまうようなものなど様々なものがありますが、共通して言えるのは「体の生理を助ける」ものであると言う事。漢方のコンセプトはいずれもこれに準ずるものであり、体への負担がごく少なく済むと言うメリットがあります。

高熱により生命が脅かされるようなケースの場合、「解熱」の必要性はもちろんありますが、日本においてそんなケースはなかなか無いといってもいいでしょう。

発熱=悪と決めつける前にご自身の体と一度お話ししていただき、ご自身の体の力を妨げない方法で上手に体調を整えてみてはいかがですか?いつでもご相談ください。

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2014年8月21日