健康情報、漢方関連のトピックを掲載しています。

乳酸菌と漢方

乳酸菌と漢方

よく「腸内環境を整えるのに乳酸菌がいい」というお話があります。もちろんこれは間違いではありません。ただ、乳酸菌には皆さんが思っておられる以上の素敵な効果が詰まっています。そのひとつが我々が普段扱う漢方薬の効果を高めてくれる、というもの。これは乳酸菌により腸内の環境が整いますと腸内に増えた乳酸菌が漢方薬の有効成分(配糖体と言います)の一部を食べてより体に吸収しやすい形に変えてくれるのです。これにより漢方薬の効き目がさらにアップする、というのはあまり知られていない話ですが、積極的に乳酸菌を摂ることでこんな思わぬメリットもあるのです。

また、便秘の解消に乳酸菌を使うというのももちろん有効なのですが、乳酸菌と言っても色々なものがあります。この中で皆さんご存知のビフィズス菌は腸内に入り、時間が経ちますと発酵し炭酸ガスを発生するのですが、この炭酸ガスにより腸内に溜まった脂肪由来の便(タール状のベトベトした便)をこそぎとってくれる働きがあります。よく「便秘解消のために水をたくさん飲みなさい」というふうに言われることがあるかと思いますが、脂肪分を多く摂る現代人の便は油分を多く含み、前述したようなタール状の宿便が腸壁にこびりついてしまい、それは水では洗い流せません。こういう観点からも乳酸菌(炭酸ガスを発生するのはビフィズス菌が手軽)の服用が大切です。ただし、普通の乳酸菌は熱や酸に弱く、大腸までうまく届かないことがありますのでそういう場合は「生きて腸に届く」というタイプの乳酸菌を試されるのも良いのですが、最初から殺菌されているいわゆる「死菌」と言われるタイプの乳酸菌も実は腸内に入り、腸内の住む善玉菌の餌になり、その活性を高めてくれるという効果を持っているので一概に生きて腸に届くモノのほうが優れているわけではありません。

大切なのは必要とする乳酸菌の種類や体質にあったものを選ぶこと。相談のキチンとできる薬局や薬店さんに漢方のことと一緒にお聞きいただければ間違いないと思います。

 

執筆:漢方のスギヤマ薬局 杉山卓也

2016年5月17日